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夏の養生法(2)

夏は特に飲食の調整を心掛けなければなりません。この時季は暑さのために体温調節や水分・塩分の代謝、泌尿器系統の活動に普段とは違う変化が現れるからです。この変化は体内の活動エネルギーを急激に消耗させますので、飲食を調整することによって活動エネルギーを補充し、暑気を払うことが必要です。
夏の食養生の要点をまとめると以下のようになります。
  • 蛋白質を補う
    高温の条件下では人体内で分解される蛋白質の量が増加します。これは汗とともに排出される窒素の量が増えるためで、このような時は不足した蛋白質を補わなければなりません。一日の必要量は平常より10〜15%多い100gくらいが目安となります。魚、乳製品、豆類などに含まれる良質の蛋白質を摂るようにしましょう。
  • 水分と無機塩を補う
    大量に汗をかいたときや暑さのため体温が上昇したときは、体内の水分が不足するだけでなく、ナトリウムやカリウムも大量に失われています。ナトリウムが不足すると重い脱水症状を引き起こしますので、水分と無機塩を補充しなければなりません。
    水分の補充は「少量をこまめに」が原則です。一度に大量の水分を摂っても吸収されません。ナトリウムは状況を見ながら補充します。あまり汗をかかない日は、食物から摂る塩分は18gを超えないようにしましょう。カリウムの補充は、豆類、昆布、卵などカリウムの豊富な食物を食べるようにすれば充分です。
  • 清熱・利湿類の食物を多く食べる
    中医では食物をその働きによって分類しています。清熱類食物は体内の熱を取り除き体の中から冷やす働きのあるものです。利湿類食物は利尿作用があり水液代謝を促進させるものです。清熱類食物は盛夏に、利湿類食物は長夏に適した食物といえます。
    スイカ、ニガウリ、緑豆、キュウリなどが清熱・利湿類の食物です。
  • 殺菌作用のある食物を多く食べる
    夏は病原菌の活動も活発になります。特に腸を侵す伝染病が多発しますので、殺菌作用のある食物をできるだけ多く食べて予防を心掛けましょう。
    ニンニク、タマネギ、ニラ、ネギなどには各種球菌、桿菌、真菌などに対する殺菌作用や活動を抑制する作用があります。
  • 滋養を心掛ける
    夏は人体の陽気が盛んになりますので、陰の力が弱まります。陰を補う滋養食を多く食べるようにしましょう。例えば朝食や夕食に粥を食べると体内の水分が補充され、暑気を払う効果があります。
    小豆粥は腎臓の働きを助けて水腫を取り除き、血行を良くして精神を落ち着かせる効果があり、蓮の実粥は消化を促進させ、精神を安定させ、下痢・不眠などに効果があります。この他にも夏に適した粥は数多くありますので、順次ご紹介しましょう。
  • 生野菜はきれいに洗う
    野菜や果物は生で食べた方が口当たりも良く、栄養価も高いのですが、表面に付着している農薬などの化学物質はきれいに洗い流さなければなりません。清浄剤や塩水に長時間浸しておいても残留農薬には効果がありません。最も良い方法は、米の研ぎ汁に浸した後水で洗い流すことです。米の研ぎ汁には大量の塩基が含まれますので、農薬の残留酸性物質を中和させ、またリン、カリウムなども分解して無害にします。
    その他、買ってきたばかりの果物は中の温度が高く、細菌が内部で繁殖していることがあります。
  • 夏の水分補給法
    a.早めに補給
    咽喉が渇いてから水分を補給するのでは手遅れです。咽喉が渇いた状態のときは既に体内の水分バランスは崩れています。細胞は脱水状態になっているのです。このとき水分を補給しても遅すぎます。
    b.飲みすぎに注意
    一気に大量の水分をとることがありますね。これも良くないことです。特に運動した後などは体の各器官は休息が必要です。こんな時に大量の水を飲むと消化器系や循環系に大きな負担をかけることになります。またこの時は体内の塩分も大量に失われていますので、大量の水分補給は更に塩分を失わせ、痙攣や麻痺を起こすことになります。「少量をこまめに」が原則です。
    c.食事中は水を飲まない
    食事中に水を飲むと消化液が薄まり、消化吸収能力が弱まります。その分、胃にも負担がかかってしまいます。
    d.お茶かミネラル水を
    糖分を含むもの、刺激性のものなどは避けましょう。



    ≪夏に適した薬膳≫
    1. 「益気生津」の薬膳
      夏は暑く大量に汗をかくので、気と津液(体内の水分)が損傷されてしまいます。気と津液を補う薬膳が夏の基本です。食材は平、微涼のものを選び、脂っこいものや温熱の食材は避けましょう。例えば、酸棗仁(ナツメの原種)、キクラゲ、松の実などです。
    2. 「健脾和胃」の薬膳
      夏の暑さと湿気は脾の働きを損ないやすくさせます。また暑いときは冷たいものを多く食べ、胃の働きを弱めます。脾・胃の働きを助ける薬膳も見過ごせません。朝鮮人参、陳皮、茯苓などが良いでしょう。
    3. 「冬病夏治」
      中医では冬の慢性病や陽気不足の病気は、夏の養生によって好転すると考えられています。特に慢性気管支炎や喘息は効果が顕著に現れています。気温が高く、陽気が盛んな夏は、患者の陽気を充実させ、抵抗力を高めるのに最適な季節といえます。



    【付録:清涼枕】
    暑い夏向きの枕を作って快適な眠りを。虫除け効果もあります。
    《作り方》
    薄荷(ハッカ)250gと緑茶500gをガーゼで包んで枕の芯にします。
    呼吸によって薬効が全身に行き渡り、暑気を払い消化を促進させる効果があります。


 
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