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診療日記から(2)
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中国の病院の 救急システム |
今回は、中国の医師の日常の様子をご紹介しましょう。
中国の大きな病院、特に医大の付属病院では、緊急を要する救急患者のあらゆる状況に対応できるように、病院の近くに独自の医師用宿舎を用意しています。ある程度の水準以上の医師は、ほとんどタダのような家賃でそこに住むことができます。各家には病院の直通電話が敷かれています。(私がいたころは携帯電話は未だ一般的でなかったのです)
急患が運び込まれたり、入院患者の状態が急変したり、また同時に多数の救急患者があって担当医師だけでは手が足りないときなどには、直通電話で助けを求められます。もちろん誰でもすぐに応援にいくことは言うまでもありません。これは患者の生命を救うことを第一とする、良くできたシステムだと思います。
私が中国で住んでいた遼寧中医付属医院の宿舎は、病院から歩いて5分ほどのところにありました。
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| 診療日記(2) |
今回は、救急患者の対応システムによって一人の青年の命を救えた記録をご紹介します。
【1993年9月】
夜8時頃、昼間の病院の仕事を終えて帰宅し、夕食も済ませて自宅の居間でのんびりテレビを見ていたとき、突然病院の直通電話が鳴った。
電話は外科病棟の担当医師からで、35歳の男性患者についてだった。彼は今日の午後、交通事故で救急入院した。左大腿骨を複雑骨折していたが、応急の手術は成功し、術後の経過も順調だった。
担当医師によると、1時間ほど前、容態が急変し一般的な応急処置を施したが症状は改善されなかった。現在意識不明、血圧も下がり、生命指標が安定しない危篤の状態だ。心電図を見るとST部の変化が心筋梗塞の際に現れる状態に似ているようで循環系統の病気の疑いがあるため、私にすぐ応援に来て欲しい・・・との事だった。
電話を切ると私は外科病棟へ急いで向かった。
患者は唇が青紫で、一生懸命息を吸おうとしているのだが極度の酸欠状態にあった。呼吸は微弱で心拍数は140/分。心電図を見ると確かにST部の波形は正常より高いが、心筋梗塞の状態とは違っている。患者の家族や患者の病歴にも狭心症は見当たらない。これでは心筋梗塞という診断は当てはまらないだろう。
私の臨床経験からすると、大腿骨の複雑骨折の手術の際、極めて小さい血栓が生ずることがあり、これが静脈に入って『肺栓塞』を生じて酸欠の発作を起こすことがある。もし適切な診断・治療を施さないと、短時間で心肺機能が衰え、命を失う・・・。
私は患者の状態から判断して、早急に『肺栓塞』による酸欠発作の応急処置、つまり呼吸補助装置を取り付け、レントゲンで梗塞位置を確認し、カテーテルで梗塞を取り除くよう指示した。
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血栓がなくなり肺の循環が再開するにつれて、患者の顔色に赤味がさし、意識も回復してきた。血圧も次第に正常値に近づいていった。患者の命が助かったことを確認し、一同ホッと大きな息を吐いた。気が付くと既に時計の針は真夜中を指していた。この救急治療に3時間ほど没頭していたことになる。
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家に帰る途中、確かに疲れてはいたのだが、一人の青年の命を救うことができたのだと思うと、医者として大きな満足感を抱いていた。 |
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