旧正月の食文化
中国の正月
中国では旧正月から新年が始まるという感覚が一般的です。新暦の正月は日本でいう祝日といった程度で、旧正月に盛大な新年のお祝いをします。官公庁や一般の企業もこの時期は10日から2週間程度の長い休みになります。
正月に飾られる「倒福」。詳しくは次回ご紹介します。
おせちの準備
旧暦の12月8日を過ぎる頃になると、古い伝統を保っている農村の主婦たちは正月を迎える食べ物の準備で忙しくなります。というのも、正月料理はとても時間がかかるので早めに準備を始めなければならないからです。
中国では各地方にそれぞれ特有の正月料理がありますが、中でも広東省のものは最もよく知られています。料理の種類も、腸詰、肉や魚の漬物、鶏肉の干物等々たくさんあって、たとえ自分の家で作らない場合でも、こうしたものを買って取り揃えなければなりません。
例えば肉の漬物は、蒸してからスライスし、拌蒜苗や唐辛子、炒めた野菜などと一緒に食べます。こうした料理は、忙しい正月には大変便利なおせち料理なのです。
中国式の餅
おせち料理の準備が終わると続いて、中国式の餅作りに取り掛かります。これは中国で「niangao」と呼ばれるもので、「年高」と発音が同じなので縁起がよいとされます。いろいろな味つけができるので、正月にはなくてはならない食べ物です。
正月の餅は形もさまざまで、金銀に見立てた黄色と白の角型のものや、南京や福州などの銀の棒状を模したものなどがあります。これらは皆、新しい年にお金持ちになりますようにという願いが込められているのです。
以前は餅はすべて手作りでした。前の晩から米を浸しておき、石臼で挽いてから布袋にいれ、重石をして水分を搾り出してから調味料を加えます。その後、蒸し籠に入れて炭火でじっくりと蒸します。色や香り、味を良くするには少しの油断もできません。主婦たちは経験を積み重ねて、次第に餅作りの名手になっていくのです。
古い言い伝えでは、正月の餅の出来具合が来年の運勢の良し悪しに関係するとされていますので、餅を作るときは不吉な話をしてはいけないとか、大声で騒いではならないなどといった決まりごとがあります。
各地の餅
正月の餅の味は地方によって異なり、北京の人達は、もち米やもちあわで作ったナツメ餅や果実餅、それに無地の餅を好みます。
河北の人達は、餅の中にナツメや小豆、緑豆などを入れて一緒に蒸して食べます。
山西省北部の内モンゴルあたりでは、小豆やナツメのこしあんを入れたもちあわの揚げ餅を食べる習慣があります。
東の方では高粱米に豆類を加えたもの、山東省ではもちあわとナツメを蒸したもの、北の方では甘いものが多く、蒸したり揚げたりしたものを砂糖につけて食べます。
中国北部では
餃子
また北方の地方では、年越しに餃子を食べる習慣があります。餃子自体は古くから日常の食事として普及していますが、除夜の晩に餃子を食べるのは特別な意味があるのです。その昔、十干十二支で時を計っていた時代には、除夜の夜、亥の刻から子の刻に変わるときに新しい年と入れ替わるとされていました。子の時に入れ替わることを中国語で「交子(jiaozi)」といい、これは「餃子」と同じ発音です。したがって、年越しに餃子をたべると万事が思い通り順調にいくとされたのです。また餃子の形が昔の馬蹄銀(非常に高価な貨幣でした)に似ていることから、財宝を招くという意味が込められました。なんとなく日本で年越しそばを食べるのに似ていますね。
餃子の中身は種々様々で、伝統的には豚・牛・羊の肉に白菜やセロリ、ニラ、大根、その他の野菜を混ぜますが、最近では山海のあらゆる食材を使っています。
「正統」的な食べ方は、やはり水餃子で、茹でた後、酢やラー油、醤油などをつけて食べますが、その他にも揚げ餃子や焼き餃子などもあります。餃子の食べ方も地方によって違い、河南や陜西ではうどんと一緒に煮て食べたり、内モンゴルや東北一帯では鍋物の中に入れたりします。
以上の他にも各家庭の主婦は、見た目も、香りも、味も良い年越し料理つくりに苦労しなければなりません。日本のおせち料理と同じで、新しい年が良い年になるようにという願いが料理に込められるのです。