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「おいしい薬膳」の「中国歴代皇帝養生レシピ」でご紹介しました「龍井蝦仁」のように、浙江料理にはこの地方の歴史につながる逸話がある料理も多くあります。
≪西湖醋魚(魚の甘酢あんかけ)≫ むかし西湖に漁をしながら生計をたてていた宋という兄弟がいました。そこに地元の悪代官が兄嫁の美しさに惹かれて自分のものにしようとたくらみ、兄を殺してしまいました。兄嫁は弟を逃がそうと思い、砂糖やお酢がタップリ入った魚料理を持たせました。そして「将来良い暮らしができても庶民の苦しみを忘れてはいけない。」と告げました。
その後弟は出世して悪代官を処罰しました。ある日、宴会に招待されたその席で、兄嫁が食べさせてくれた料理とまったく同じ味の魚を口にしてたいへんに驚きました。調べたところそれは紛れもなく兄嫁の手料理で、彼女は悪人の報復を恐れて名前を変えていたのです。ようやく兄嫁を見つけた弟は役人を辞めて兄嫁とふたたび漁の暮らしに戻ったということです。それ以来人々は宋家の兄弟をたたえてその調理法をひろめ、杭州料理の定番となりました。なお醋とは中国語で酢の事です。
≪東坡肉(豚の角煮)≫ 一般的に中国語で角煮と言えば、「紅焼肉」と呼ばれます。わざわざ別の名前がある以上は違いがあるわけで、東坡肉の特徴は、簡単に言って次の2つです。
1.水を使わず、紹興酒で煮る。
2.小さく切って、一人分ずつ壷に入れて供する。
何故1、2を守らねば「東坡肉」にならないのかという理由は、この料理の由来に深く関わっているのです。 今から約千年前、蘇の東坡は政治家・詩人・書家として当代一流で、文章家としても後世に多大な影響を与えた存在でした。そんな彼が、杭州に知事として赴任したときのことです。蘇東坡は荒れ放題だった西湖を整備するなどの善政を施したので、土地の農民から大層慕われました。農民たちは、日ごろの感謝の気持ちを込めて、正月が来ると大量の豚肉を彼に贈りました。しかし、そんなにたくさんの豚肉を食べ切れるわけがありません。そこで、彼は家人に「この豚肉を小さな塊に切り分けて角煮を作り、紹興酒と一緒に各家庭に送り届けよ。」命じました。ところが、うっかり者の家人は「酒と一緒に送る」を「酒と一緒に煮込む」と間違ってしまったのです。これが怪我の功名で、出来上がった角煮はすこぶる美味で、農民たちは口々に誉めそやしました。その後、この新しい料理は普通の角煮とは区別され、彼の名を冠して「東坡肉」と呼ばれるようになり、今に伝わっているのです。
≪叫花鶏(鶏肉の包焼き)≫ 叫花鶏の名前の由来にはこんな話しがあります。
昔、こじき(叫花)がニワトリ盗みました。ところが鍋も釜もありませんので、後で食べようと地面を掘って埋めて隠しておきました。後から来た人が、そんなことは知らずに、焚き火をしました。再び、こじきが隠したニワトリを掘り出してみたら、いい加減に蒸されて美味しかったので、料理として有名になったということです。
この他にも ≪宋嫂魚羹≫( 「宋姉魚のスープ」とも呼ばれるもので800年の歴史があるそうです。「桂魚」の身と、中国のハム、干し椎茸や葱・生姜などと一緒に煮込んだとろみのあるスープです。)などなど特徴のある料理がたくさんあります。
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