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中国八大料理
 
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湖南料理 11/02/05
湖南の風土

湖南省は中南地区に位置し、南部は山岳地帯、北部は洞庭湖平野が広がり、湘江、資江、■江(げんこう)、■水(れいすい)などの河川が洞庭湖を経て長江に流れ込んでいます。気候は温暖で降雨量も多く、四季がはっきり分かれていて、こうした自然条件に恵まれた環境の中、農業、牧畜、漁業が発展し、豊かな産物を生みだしてきました。西部には山が多く竹の子、キノコをはじめとして山の珍味が豊富で、東南部の丘陵と盆地では農業、牧畜業が発達、北部は名高い洞庭湖平原で古くから魚米の故郷と称されています。湖南の人々はこの豊かな産物を背景にして、一連の湖南料理を作り出してきました。『史記』には「楚(湖南にあった古い国)は食が豊かで飢饉の心配がない」と記されています。また「湖広(湖北・湖南地方)が豊作なら天下(の食)は安泰だ」という諺も広まっています。

 
形成の歴史

湖南省にある新石器時代の遺跡からは大量の食器や酒器、そして穀物や動物の骨が出土しています。これは既に8〜9千年前には原始的な生活から調理して食べるという習慣に変わっていたことを証明しています。
春秋戦国の時代、湖南は楚人と越人が主に住んでいましたが、他にも多くの民族が居住し、様々な飲食習慣や祭祀が盛んに行われていました。天神地祇や祖先を祀る際や冠婚葬祭には必ず宴会が開かれ、歌舞音曲が催されていました。この時の料理には厳格な定めがあり、色や味、香り、見た目などの工夫が重ねられました。
紀元前300年代の戦国時代、政治家で偉大な詩人でもある屈原は湖南に流され有名な『楚辞』を著しました。その中の『招魂』と『大招』の2篇に当時の祭祀における飲食の様子が描かれています。『招魂』には、「料理が多彩で、米や穀物は種類も豊富、酸・甘・苦や塩辛さなどの味も調和がとれている。牛肉は柔らかくて香が良く、魚や羊肉のあんかけ、白鳥の炒め揚げ、雉の煮込み、雁の炒め・・・どれも美味しくてたまらない」とあり、『大招』には、楚式のヨーグルト、味付け肉、干し肉、蒸し鳥、焼き魚などの料理が記載されています。この時代には、色々な食材を使いこなし、さまざまな料理法で食生活を営んでいたことが窺われます。
秦・漢の時代になると湖南の食文化は一層の発展を遂げます。調理方法も整備され、豊富な食材を使った料理の数々は群を抜いていました。1972年に長沙市の馬王堆で発掘された副葬品から、2000年以上前の西漢の時代には既に百種に近い料理があったことが分かりました。肉の煮込み料理だけでも5系統24種あり、72の食材が使われています。また、調理法や調味料も戦国時代から更に進歩していることが確認されています。
こうして唐、宋、さらに明、清と発展を続けて、湖南料理は中国八大料理の一つに数えられるようになったのです。

 
食文化の特徴

湖南の食文化には以下のような特徴があります。

○ 湖南では「吃(食べる)」という言葉に大きな意味が込められています。これは冠婚葬祭にまつわる言葉や風習に表れています。例えば、結婚のことを「吃喜酒」、人が死ぬことを「吃肉」と言ったりします。赤ん坊が生まれた時は「満月」を食べ、誕生日には「寿麺」を食べなければなりません。また、「こんにちは」という代りに「食事はお済みですか」というのが普通の挨拶になっています。

○ 豊かな土地柄のため稲作が盛んで、日常では米が主食になっています。一部山岳地帯では米が獲れないため、トウモロコシやジャガイモ、サツマイモが主食でしたが、経済の発展につれタバコや薬草の栽培で収入を得て米を主食とするように変わってきています。都市部も田舎も一日三食の習慣は同じですが、都市部では朝食は簡単にして夕食にご馳走を食べ、一週間のうちでは週末の食事を大事にし、一方田舎では三食にハッキリした違いはなく、旧暦の節気、特に春節の食事を大事にしています。都市部でも田舎でも、家庭の主婦は季節の食材を使って漬物などを作ります。来客があった時、それを振舞うのが腕の見せ所というわけです。

○ 老若男女を問わず辛いものが好きで、毎日の食事や宴会には唐辛子料理が欠かせません。これは湖南地方は湿度が高く唐辛子の発散させる働きが相応しかったこと、そして米を主食にしていたので唾液の分泌や食欲増進の刺激があることが、湖南の人々の辛いもの好きの風俗を作り上げたのでしょう。

○ トウチ、ニガウリ、苦蕎麦など苦い味も好まれています。これも風土に関係があり、亜熱帯の属する湖南地方は暑い時期が長く、この暑さから身を守るために苦の食材が多く使われるのです。ちなみに中国医学では、苦は熱を冷まし湿気を取り除く働きがあるとしています。

 
料理の特徴

日本で辛い中華といえば四川料理ですが、実は中華でも最も辛いと言われるのはこの湖南料理なのです。四川の辛さが「麻辣」なのに対して、湖南のは酸味と唐辛子の辛さを合わせた「酸辛」の味付け。そして食材を湘江流域、洞庭湖周辺、湖南省西部の山間地帯から集め、元の風味そのまま保ちつつ、柔らかく口当たりがよいという特徴があります。
湖南料理は主として湘江流域、洞庭湖地域及びの湘西山間部の料理によって構成されています。

≪湘江流域≫
長沙、衡陽、湘潭を中心とし、湖南料理の代表。香り、新鮮さ、酸味、辛さ、柔らかさを重視して作られています。

≪洞庭湖地域≫
河川の新鮮な魚介類と家禽を材料に、煮込み、蒸し、燻し等の料理技法を使ってうまく調理されたもの。

≪湘西山間部≫
山の珍味や野鳥・野獣の肉等が巧みに調理されているだけでなく、煙で肉を燻製にしたり塩漬けにしたりするのが特徴。味は、塩辛くて香りが良く、一般的には酸味があり、辛口。

 
代表的な料理

湖南料理は世界にも知られているものが数多くあります。『東安仔鶏』のように北米で大人気のものや、アメリカのブッシュ前大統領の自伝でも紹介された長沙火宮殿の『臭豆腐』などのほか、特徴のあるものをいくつかご紹介しましょう。

≪全家福≫
湖南の伝統的な家庭宴会料理。ごった煮のようなもので、あり合わせの野菜や肉など何でも入れてしまう感じです。一家が楽しく幸せに満たされるようにという意味が込められています。

≪百鳥朝鳳≫
伝統的な湖南料理で、皆が一堂に集まり楽しむことを象徴しています。鶏の内臓を取り除き、丸ごと蒸した後、卵や野菜と煮込む料理です。

≪組庵魚翅≫
湖南でも最も有名な料理一つです。魚翅はフカヒレのこと。材料の組み合わせと独特な作り方が特徴です。清代の役人:譚組庵が好んで調理法を改進させたのが料理名の由来です。

≪子龍脱袍≫
うなぎを主な材料として作る伝統的な湖南料理。特にうなぎは皮を剥くので、その様子が古代の武将が服を脱ぐのに似ていることから名付けられました。

≪覇王別姫≫
『さらば、わが愛/覇王別姫』という映画をご記憶の方も多いと思います。覇王別姫とは、四面楚歌で有名な項羽と虞美人を描いた京劇の名作。料理はスッポンと鶏を中心に、椎茸、ハム、ネギ、生姜、ニンニクなどをなどを加えた宴席の上等な料理。食べ方にも特徴があります。

≪三層套鶏≫
長沙の名料理人:柳三和が得意とする有名料理。鶏、鳩、雀を三層にして蒸すところからこの名がつきました。

≪花末ウ黄蛋≫
微妙な火加減で卵白が流れ出さないようにします。蔡海雲が作る黄身の無い卵は、食べた誰もが驚かされます。

 
 
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